第3回 日本とアメリカのワクチン接種について

 薬剤師のSAKINAです。アメリカで娘を出産しました。そこで、日本とアメリカのワクチン接種について調べてみました。

<分かったことその1:ワクチン接種項目の違い>
 子供が受ける予防接種の内容は日本とアメリカで似ているのですが、BCGと日本脳炎はアメリカの予防接種に含まれていません。BCGは特別な条件を満たしている人だけが受けるワクチンのようです。そのため、結核に感染していないか学校入学時にツベルクリン反応検査を行うのですが、陽性になると(BCGを打ったための偽陽性だとしても)、結核の疑いで胸部レントゲンや血液検査を受けさせられるようです。

 アメリカで定期予防接種の流行性耳下腺炎、ロタウイルス、インフルエンザ、A型肝炎、髄膜炎菌は日本では任意接種となっています。日本では任意接種の場合基本的には自己負担ですが、アメリカでは子供の予防接種は大体の保険会社でカバーされているため無料で受けることができます。

 なお、予防接種を受ける際は小児科クリニックに各自予約を入れますが、検診とワクチン接種の時期が同じであるため検診も同時に実施してくれます。ただアメリカには母子手帳のような便利なものはないので、私の娘のクリニックではワクチンの接種記録と成長の記録は都度紙で渡されます。

表1.日本とアメリカの予防接種対比表

※1.日本では、2013年6月より積極的接種勧奨差し控え。
※2.アメリカでは男女ともに接種対象。日本は女子のみが対象。

 

<分かったことその2:混合ワクチン(combination vaccine)の種類の違い>

 日本では混合ワクチンは種類が限られていますが、アメリカでは最大5種類含んだものがあります。混合ワクチンの利点の一つは、接種する注射の本数が少なくて済み痛みの軽減につながることです。そのため、アメリカでは混合ワクチンでの接種が勧められています。例えば、娘が実際に生後2か月で7種類のワクチン(B型肝炎、ジフテリア、破傷風、百日咳、ヒブ、ポリオ、肺炎球菌)を接種した際は、注射の本数は3本でした。

表2.日本とアメリカの混合ワクチン対比表

※アメリカではDTapとMMRに含まれるワクチンをそれぞれ単体で打つことができないので combination vaccineとは考えられていません。

<分かったことその3:接種タイミングの違い>

 アメリカでは赤ちゃんが受ける最初のワクチンは生後24時間以内に打たれるB型肝炎ワクチンですが、日本では生後二か月からワクチン接種が始まります。そのように、日本とアメリカで共通の予防接種でも、打つ時期が若干異なっているものが多いです。もし日本とアメリカで予防接種を並行して行う場合は、重複しないように注意が必要です。

 あくまでも参考までに表を作成してみました。それぞれ細かく接種間隔が決まっているので、詳しくは正式なスケジュールをご確認ください。

表3.日本とアメリカの予防接種スケジュール対比

<参考資料>
The Centers for Disease Control and Prevention (CDC) のRecommended Child and Adolescent Immunization Schedule for ages 18 years or younger 2020
日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール
国立感染症研究所の定期・任意予防接種スケジュール[2019年7月26日~]

 今回ワクチンについて調べてみた全体の感想としては、アメリカの方が定期予防接種の種類も混合ワクチンの種類も多いので子供のことをより考慮していると思いました。

 

・第1回 アメリカでの妊婦検診体験
・第2回 アメリカでの妊娠出産記録
・第3回 日本とアメリカのワクチン接種について
・第4回 ラクテーションコンサルタントにお世話になった体験談
・第5回 アメリカの搾乳機について
・第6回 アメリカの赤ちゃん用ミルクについて
・第7回 新型コロナウイルスについて@ケンタッキー州 Part 1
・第8回 新型コロナウイルスについて@ケンタッキー州 Part 2
・第9回 アメリカの産休育休事情
・第10回 第10回 新型コロナウイルス事情について@ケンタッキー州(7月の状況)
・第11回 病院受診について~整形外科(Orthopedics)編~
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