第8回 新型コロナウイルスについて@ケンタッキー州 Part 2

 2020/3/11にWHOによる新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミック宣言がされてから早1か月経ちました。患者数、死者数はどんどん増え、未だに終息する気配がありません。日本でも4/7に緊急事態宣言が出されましたが、それにもかかわらず世の中にはこの事態を他人事ととらえ不必要に出歩いている方がいるようで、そういった方たちの危機感のなさのためにこれからの日本での感染拡大がとても心配です。

 アメリカのトランプ大統領はNational Emergency (国家緊急事態)を3/13に宣言しました。4/15現在、アメリカ全土の感染者数は61万人を超え、死者数もアメリカ内だけでも26000人を超えています。私の住んでいるケンタッキー州の感染者は約2100人、死者数は100人ほどでニューヨーク州と比べると数は少ないですが、それでも決して他人事とは思えません。今回は、私の住んでいる地域の状況とケンタッキー州の対策などについてお伝えします。

 

<ケンタッキー州の対策など>

 ケンタッキー州では3/6に(アメリカ全土での患者数が164例だった時点)早々に州知事がState of Emergency(州の緊急事態)を宣言し、感染拡大予防の措置を始めました。現在までに毎日のように州知事から要請や指示が出ているので、時系列に沿って内容を抜粋してお伝えします。
※ケンタッキー州のCOVID-19に関するウェブサイトから自分なりに翻訳したため、解釈が間違っている場合があるかもしれません。ご了承下さい、、

 

3/7 ケンタッキー州のCOVID-19ホットライン、ウェブサイト設立。物品の価格のつり上げ禁止の行政命令。州での病気休暇ポリシーを調整し、企業に対しても病気休暇ポリシーを発効するよう推奨。
3/9 保険会社にCOVID-19の検査費用を差し控えるように行政命令。
3/10 薬剤師が緊急用のリフィルを30日を上限として出せることを許可(行政命令)。介護施設・老人ホームの訪問者を制限。刑務所の訪問をクローズ。
3/11 企業に対して、従業員の自宅勤務を許可するように推奨。
3/12 学校関係者に対して、3/16より対面での授業を中止するように要請。
3/14 無保険の人も含め、ケンタッキー州民が無料で検査を受けられることを保証。保育所に対し、72時間以内に閉められるような計画を立てておくように依頼。健全なメンタルヘルスと不安を軽減するのを助けるためのヒントを州知事のフェイスブックで紹介。
3/16 レストランやバーを閉めるように要請(ドライブスルー、テイクアウトなどは除外)(行政命令)。保育所に対し、3/20までに閉めるように依頼。
3/17 エンターテインメント施設、レクレーション施設、ジム、エクササイズ施設、ヘアサロン、ネイルサロン、スパ、コンサート会場、スポーツイベント会場などを閉鎖するよう要請。急性の施設では訪問者を限定すべきである、高齢者介護施設は訪問者を終末期医療を受けている患者の大切な人のみに限定すべきであると発表。
3/18 食品の供給は十分にあることをアナウンス。すべての州民に対し、CDCとKentucky Department for Public Health(ケンタッキー州公衆衛生局) によるsocial distanceガイドラインに準拠する実行可能な措置をとるよう助長(行政命令)。
3/19 すべての集会を禁止。酒を販売するレストランに対し、アルコールはもともとの容器に入ったままデリバリーするようアナウンス。
3/20 学校に対して、少なくとも4/20まで対面での授業を中止するように要請。
3/22 生活に必要のない対面の小売業者は3/23の8時までに終了する予定とアナウンス(開いている店:スーパー、薬局、銀行、ガソリンスタンドなど。閉まる店:服屋、本屋、花屋、家具屋、ジュエリーショップなど)。
3/23 すべての選択的医療処置を中止するようにという行政命令に署名。すべてのテレビ局、ラジオ局に対しソーシャルディスタンスなどCOVID-19対策の公共広告を流すように推奨。
3/24 これまで以上の遠隔医療の選択肢を許可するための新しい命令を追加。
3/25 市長や裁判長に、公園などの公共の場所に集まっている人々を監視し、社会的距離を空けなかったりCOVID-19の蔓延の危険がある場合は停止するように依頼。
3/30 ケンタッキー州から例外(仕事、介護、病院受診など)を除き出ないように指示。
4/2 ケンタッキー州に住む家族や友達のところに滞在するために州外から訪れた者は14日間の自主隔離を行うように指示。学校に対し、少なくとも5/1まで対面での授業の停止を延長するように要請。
4/8 買い物の際の人数制限(1世帯あたり大人の数は1人、行政命令)。
4/12 4/13より州内初のドライブスルー検査が開始になることをアナウンス。

 

 他には雇用に関する内容などもあります。また今のところ、外出しても罰則などはありません。 なお経済面のサポートとして、アメリカでは国民に対し一人につき最大1200ドルの給付金を配布することを決定しています。単身者は収入がおよそ750万円以下であること、家庭がある場合は世帯収入が約1500万円以下であることが、大人一人につき1200ドル受け取る条件です(子供は一人当たり500ドル)。

 現在のケンタッキー州と東京都の感染者数を比較してみると症例数は同じくらい(4/15時点で東京2446例/人口約1390万人、ケンタッキー州2106例/人口約450万人)ですが、総人口が東京より圧倒的に少ないわりにはケンタッキー州の感染者数が多いです。そして日本での対策や要請等と比較すると、こちらの方がやや厳しく設定しているのではないかという印象を受けました。

ただ実際、いくら国・州・県での対策が整っていても、一人一人が意識して生活しないと意味がないと思います。医療現場で働くヘルスケアヒーローたち、職業柄外に出て働かざるを得ない方たちがいる中で、自分都合で外を出歩くのはやはり今すべきことではないと思います。すべての人が他人事とは思わずに責任ある行動をし、事態が早く終息につながことを心から願います。

 

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