HAP活動レポート

第26回日本女性医学学会学術集会 参加レポート

【日時】平成23年11月12日(土)・13日(日)/神戸国際会議場

第26回日本女性医学学会学術集会

「学会ってなにをするのですか?」

 テレビ業界で勤める人から、こんな質問を受けた。「学会?学術集会のことね。」と私は聞きなおしたのだが、私が年に数回、学術集会や学会主催の研修会参加のため、鹿児島から楽しそうに出張してくるのはなぜだろうと思ったらしい。

 平成23年4月1日に、日本更年期医学会から名称変更して日本女性医学学会となった当学会の、今年の学術集会の様子をレポートしたい。これから学会に入会したい。学術集会に参加したいと思い、このサイトを見に来てくれた方の参考になれば幸いです。

 学会の事業として、年に一回、学術集会が開催される。第26回学術集会のメインテーマは「これからのウィメンズヘルスを求めて」。会場は、神戸市ポートアイランドにある神戸国際会議場で平成23年11月12日から、13日の2日間開催された。 学術集会会長の苛原先生の開会の挨拶から抜粋すると、日本女性医学学会は次の両輪で成り立っている。

「女性医学」… 性差を基盤とした臨床研究学
女性ホルモンの基礎、性差医療やHRTの基礎と臨床、女性のヘルスケアに関する疫学的な調査学など

「女性医療学」… 女性のヘルスケアの理論やテクニックを研修する実践医療学  
今までの更年期医療を中心に、女性内科、女性泌尿器科、思春期から老年期のヘルスケア、がん検診業務などを担当する女性ヘルスケア医療従事者が身につけるべき知識を研修する

 テーマごとに会場は4つに分けられ、それぞれの会場で各講演が同時進行していく。1講演30分のものから、演者数名が集まってのシンポジウムになれば、2時間のプログラムになるが、途中退席して他の会場に移動するのも自由です。

Point 1.誰でも参加できる。

女性医学に興味がある方なら、職種を問わず、参加は可能。学会員でなくても大丈夫。事前登録も不要。受付で参加費を支払い、参加証となる名札を首にさげて会場に入る。

Point 2.どの会場に参加するのも自由。

 抄録・プログラムを購入し、4つに別れた会場から自分が興味のある内容のものを探し入場する。

 今回、第1日目は午前9時30分から開始しており、昼食時には、ランチョンセミナー。会場でお弁当が配られる。お弁当を食べながら講演を聞く。弁当代は、参加費に含まれている。もちろんお茶もついている。4つに分かれた会場以外にも、ポスター会場があり、会員がそれぞれの分野で研究発表した成果が貼り出されている。レセプションホールには、機器展示場やドリンクサービスコーナーもあり、コーヒーなどが無料で提供されている。 講演の合間に適当に休憩しよう。第1日目のすべてのプログラムが終了するのは、18時50分。

Point 3.懇親会にも参加しよう。

 その後、懇親会が開かれる。懇親会に参加するには、学術集会参加費とは別に、懇親会の参加費の徴収がある。開催地のご当地メニューがバイキング形式の立食パーティー。大抵、顔見知りの者どおしでテーブルを囲んでいるが、お一人様でも気にはならないと思う。懇親会の会場では、質問したかった演者にじっくりと話を聞くことも可能。仲間と今後の活動計画を立てるもよし。退席も自由。

Point 4.せっかくだから、2日目も参加しよう。

 第2日目に参加する場合は、地元の方以外は、周辺の宿泊施設を利用する。今回、隣接の神戸ポートピアホテルに宿泊した会員が多かったが、空室がなく、三宮のホテルを利用した会員もいた。第2日目は、午前8時30分スタート。1日目と同様、ランチョンセミナーをはさんで、最終の学会指定プログラムが終了するのは、16時50分。終了後は個々に解散し帰途につくが、時間通りに進行しないこともあるので、帰りの便は時間的に余裕を持って取っておくべきだろう。

Point 5.次のワークショップ、学術集会の日程を確認しよう。

 学会では、学術集会とは別に、ワークショップも開催される。ワークショップは、ほぼ半日。直近では、横浜市 はまぎんヴィアマーレで平成24年2月5日日曜日に午前10時から16時までの予定。テーマは、「若さを保つ女性医学の最前線」

 私自身、研究職でも、教職でもない。一保険薬局で、処方箋を持って訪れる患者の服薬指導をしている一薬剤師ではあるが、日々の調剤業務の中で、処方箋の中の世界だけでなく、その方にとって、なにか役に立つ情報提供をしていこうとその材料探しに学会に参加している。そのひとつがウィメンズヘルスケアに力を入れていることであり、また、自分自身のアクティブエイジングのヒントにもなっている。

 特に、婦人科の近くの薬局薬剤師に限らず、小児科や耳鼻咽喉科の近くの薬剤師が参加してくれるとよいのにと思うことがある。なぜならば、女性は出産後、子供の成長とともに、病気への自覚症状がなければ病院に行くことは少ない。たとえ、妊娠中に血糖値が高いことや、血圧が高くなっていることを指摘されても、それが将来の糖尿病や高血圧症につながると気づかずに過ごしてしまう人も多いだろう。だが、子供の診察に小児科や耳鼻科に行く機会は多々あるであろうから、そこで出会う薬剤師が女性の生涯を通してのヘルスケアを勉強してわかっていたら、母親の健康管理のヒントになる情報を与えることや健康チェックの機会を提供することができるのではないだろうか。更年期になって、病気に気付いてあわてる前に防げることもあるはずだ。

 今回のレポートは、開催された講演の内容そのものについてではなく、学会会場をイメージしていただくためのナビゲーションとして提供させていただきました。

 

日本女性医学学会 認定薬剤師 岩下 弘美

「女性の健康支援」「ウイメンズヘルスケア」私たちの活動で応援します。
この法人は、女性のライフステージに応じた健康管理と疾病管理(以下「ウィメンズヘルスケア」という)の改善とその向上を図るための情報を、広く一般女性および医療ならびに関連領域に従事する者に伝え、社会にウィメンズヘルスケアのあり方を提言する。それらの活動により女性のQOL向上に貢献することを目的とする。併せて、地域包括ケアに関わる医療・介護職の人材育成や調査研究により、老若男女が協働できる仕組みを提言し、地域住民の健康維持・増進に寄与することを目的として活動する 特定非営利活動法人です。